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社会問題

日本学術会議の勧告で設立された研究所「京大霊長類研究所」の研究費不正問題について(まとめ)

任命拒否で一躍「日本学術会議」が、国民の知れ渡るところとなりました。その学術会議と関係の深い京大霊長類研究所が億を超える不正受給をしていました。論文不正も。

事件の内容

京都大学「霊長類研究所」を詐欺的と訴えた「新証拠」–内木場重人(ハフポスト2017年11月30日 13時56分)

2017年?京大は2015年に業者に提訴されて問題を把握していたって?そんな前から?

「京大霊長類研究所」で研究費の不正が判明 返還額は最大20億円(週刊新潮 2019年11月7日号掲載)

◯官製談合

ハフポストの記事によると、株式会社イシハラは、動物実験施設の設計施工会社で、京大霊長類研究所とは30年来の取引相手だった。下記の3件の工事すべて、京大のM教授やT准教授らより事前の計画段階から相談されており、当初から大学側の予算額も聞いていた。つまり、国立大学の京大と株式会社イシハラとの「官製談合」が行われていたという。

  1. 2011年9月、熊本県宇土市にある同研究所の施設内に、チンパンジーの飼育研究施設である「比較認知科学実験用大型ケージ」一式の設置工事の一般競争入札が行われた。京大側の予算は約1億6000万円のところ、約2億7000万円の入札もあったが、株式会社イシハラが約1億2500万円で落札した。
  2. 2021年11月、熊本市にある「京都大学野生動物研究センター熊本サンクチュアリ」内に、「大型類人猿用連結型ケージ」一式の設置工事の一般競争入札が行われた。京大側予算約6000万円のところ、他社の応札がなく、株式会社イシハラが約4600万円で落札した。
  3. 2021年11月、愛知県犬山市にある同研究所の施設内に、❶と同種の施設工事の一般競争入札が行われた。京大側の予算は約1億2000万円のところ、約1億8000万円の入札もあったが、株式会社イシハラが約1億1200万円で落札した。

◯契約後の不適切な仕様変更、架空契約や入札妨害など

工事内容はいずれも予算額で収まらず、相当額の赤字が発生することは事前の打ち合わせで教授らも認識を承知しており、赤字分は以後、別の仕事を順次随意契約で発注し、その額に別予算で上乗せして補填する、という確約をしていたという。

文部科学省主管の補助金交付事業(最先端研究開発戦略的強化費補助金交付事業)として指定を受け、実際に交付を受けた事業の一環として行うものであるから、是が非でも応札してほしい。こういう話は長年の取引先であるイシハラとしかできないからと懇願され、赤字補填の確約を信じて応札、落札に至ったという。しかし、実際に補填の話になると、なかなか応じてくれず、やむを得ず提訴したという経緯だそうです。

大学側は、業者の赤字補塡(ほてん)のために架空契約を行うなどして、計約5億670万円の不正支出があったとする調査結果を公表した。

「京大霊長類研究所」で研究費の不正が判明 返還額は最大20億円(週刊新潮 2019年11月7日号掲載)

京大霊長類研の設備工事で特別教授ら研究費不正使用か 大学側が内部調査(毎日新聞2019/12/6 11:21)

当時の京大総長が任期満了で変わる(2020年)

山極壽一 総長(2014年10月1日) ➡️ 湊長博 総長(2020年10月1日就任)

山極壽一 氏

日本学術振興会奨励研究員、財団法人日本モンキーセンターリサーチフェロー、京都大学霊長類研究所助手、京都大学大学院理学研究科教授、京都大学大学院理学研究科研究科長、京都大学理学部学部長、京都大学総長(第26代)、一般社団法人国立大学協会会長(第26代)、24期 日本学術会議会長(2017年から3年)などを歴任。2021年4月より総合地球環境学研究所所長を務める。

大学の総長であり、霊長類研究所と日本学術会議の会長まで務めていたとは・・

京大が研究費9億円を全額返還していたことが判明(2020年9月)

不正に関与した教授ら

原資は税金…京大・霊長類研究の世界的権威は、なぜ11億円不正支出に手を染めたのか(BusinessJournal2020.11.25 05:55)

  1. 松沢哲郎 特別教授
  2. 友永雅己 教授
  3. 平田聡 教授(野生動物研究センター)
  4. 森村成樹 特定准教授(野生動物研究センター)

Business Journal より

研究費不正問題で、特別教授ら懲戒解雇(共同通信)

京都大、松沢氏ら2人を懲戒解雇 霊長類研の研究費不正支出(神戸新聞2020/11/24 19:50)

松沢氏ら2人を懲戒解雇 研究費不正支出で 京都大霊長類研(日経新聞2020年11月24日 22:23)

京大霊長類研の不正支出 特別教授ら2人を懲戒解雇(朝日新聞2020年11月24日 18時45分)

松沢教授ら2人懲戒解雇 霊長類研の不正支出―京大(時事通信2020年11月24日19時42分)

懲戒解雇(2人)

●松沢哲郎 特別教授

※ 松沢氏は自身のホームページに「不正の判定の基礎となる大学の調査そのものが事実を誤認しており、このため誤った事実認定に基づく不正の認定になっている」とのコメントを発表している。

●友永雅己 教授

停職・戒告(4人)

●平田教授を停職1カ月(野生動物研究センター)

●森村特定准教授を停職2カ月(野生動物研究センター)

●霊長類研の事務職員2人を戒告の懲戒処分

京都大学 PDF(各被処分者に認定した事実について 高等研究院特別教授(特定教授) 松沢 哲郎)

<1.高等研究院特別教授(特定教授) 松沢 哲郎>

認定した事実

(1)松沢氏が関与した競争的資金等の不正使用及び契約手続上の不適切な行為
ア「競争的資金等の不正使用」に関与した契約 計14件
(認定金額:計 232,215,000 円)
イ「契約手続上の不適切な行為」に関与した契約 計2件
ウ 松沢氏の職責及び本件の社会的影響
松沢氏は、平成5年9月1日から平成28年3月31日までの間、霊長類研究所
の教授であり、かつ思考言語分野の長として所属する教員を指導する立場であった。
また、平成18年4月1日から平成24年3月31日までの間は霊長類研究所長と
して霊長類研究所の教職員を指導監督する立場にあり、かつ、コンプライアンスを
推進する立場であった。かかる立場でありながら、松沢氏はこれらの職にあった期
間において、上記の「競争的資金等の不正使用」及び「契約手続上の不適切な行為」
に関与していた。
また、松沢氏による「競争的資金等の不正使用」(ア)及び「契約手続上の不適
切な行為」(イ)に関与した行為が、社会に与える影響は、非常に大きなものがあ
る。

(2)監督者としての責任
松沢氏は、平成5年9月1日から平成28年3月31日までの間、霊長類研究所の
教授であり、かつ、思考言語分野の長であり、当該期間には、当時思考言語分野に所
属する教員であった友永氏と、松沢氏が代表者である研究プロジェクトで雇用されて
いた平田氏が、「競争的資金等の不正使用」及び「契約手続上の不適切な行為」に関
与した期間が含まれている。また、今回「競争的資金等の不正使用」が認められたプ
ロジェクトの研究代表者でもあった。さらに、松沢氏は、平成18年4月1日から平
成24年3月31日までの間、霊長類研究所長の職にあり、当該期間には、友永氏及
び平田氏が「競争的資金等の不正使用」及び「契約手続上の不適切な行為」に関与し
た期間が含まれている。松沢氏は、研究代表者である以上、これらの経費により実施
されるケージの整備に関して管理すべき立場にあり、部下など他の教員をして研究費
が適切に支出されるよう管理監督すべき注意義務があった。松沢氏は部下の教員に整
備を任せきりにしたうえで、同人に適切な報告を求めなかったなど、管理すべき立場
としての注意義務を怠っていた。また、霊長類研究所の教職員を指導監督する立場に
あったにもかかわらず、所属する教員においてかかる事態を招いたことは、その職務
遂行上の配慮が十分でなかった。

処分の理由
上記の行為は、国立大学法人京都大学教職員就業規則第32条(誠実義務)「教
員は、職務上の責任を自覚し、誠実にかつ公正に職務を遂行するとともに、大学の発
展に努めなければならない。」に違反し、かつ、同規則第36条(遵守事項)第2号
に規定する禁止行為「職場の内外を問わず、大学の信用を傷つけ、その利益を害し、
又は教職員全体の不名誉となるような行為をすること」に該当するものであり、同規
則第48条の2に掲げる「懲戒の事由」の第1号「この規則によって遵守すべき事項
に違反した場合」、同第2号「故意又は重大な過失により大学に損害を与えた場合」
及び同第4号「その他大学の諸規程によって遵守すべき事項に違反し、又は前各号に
準ずる不適切な行為があった場合」の懲戒事由に該当することから、同規則第48条
第5号に規定する懲戒解雇の量定としたものである。

京都大学HPより引用

霊長類研究所とは

設立について

京都大学 霊長類研究所所長より(松沢哲郎氏)

1964年5月、当時の日本学術会議会長である朝永振一郎(のちに日本人2人目のノーベル賞を受賞した物理学者)から、ときの内閣総理大臣・池田勇人に対して、「霊長類研究所(仮称)の設立について」という「勧告」がおこなわれました。主文はわずか1行半です。

「霊長類研究の重要性に鑑み、その基礎的な研究をおこなう総合的な研究所(霊長類研究所、仮称)を速やかに設立されたい」。

人類の起源の解明には霊長類研究が必須だ、というのがその理由です。この日本学術会議の「勧告」からちょうど3年後の1967年6月1日に、京都大学霊長類研究所が全国共同利用の附置研究所として発足しました。研究所は、来年で創立40周年を迎えます。

京都大学 霊長類研究所 より一部抜粋

日本学術会議の勧告で設立された研究所なんですね。

松沢哲郎 氏

平成5年9月1日から平成28年3月31日までの間(1993年〜2016年)霊長類研究所の教授で、チンパンジーの認知能力研究の第一人者

「高等研究院」新設へ 定年研究者の流出防止(毎日新聞2016/3/8 23:27)

2016年4月から、優れた研究者が定年(65歳)後も学内で研究に専念するための新組織「高等研究院」が新設され、松沢氏は特別教授になったようです。

合わせたかのようなタイミングですね。

(これは余談ですが、同年11月8日「霊長類研究基金」設置)

「特別教授」という肩書き

ノーベル賞・本庶佑さんの肩書「特別教授」は京大に4人だけ(産経新聞2018/10/26 10:06)

記事によると特別教授は2018年10月当時4人だけだったそうです。いかに特別かわかりますね。

  • 森重文:(フィールズ賞)
  • 本庶佑:(ノーベル医学・生理学賞)
  • 北川進:(ノーベル賞候補)高分子材料「多孔性金属錯体」を開発
  • 松沢哲郎:チンパンジーの認知能力研究の第一人者

特別教授に任命されるには「国際的に極めて顕著な功績などがあり、京大の研究教育の発展に貢献すると認められる者」との基準を満たす必要がある。具体的な選考手続きは非公開だが、報酬は年俸制で月額30~220万円の範囲と決められている。

産経新聞より

当時、松沢さんはこの4人の中の一人だったのですね。すごいですね。

京都大学 高等研究センター 教員一覧(2021年10月11日確認)

1森 重文院長 / 特別教授
2本庶 佑副院長 / 特別教授
3北川 進副院長 / 特別教授 / iCeMS拠点長
4金出 武雄招聘特別教授
5柏原 正樹特定教授
6平岡 裕章高等研究センター長 / 教授 / ASHBi副拠点長
7村川 泰裕教授
8山本 真也准教授
9川ノ上 帆特任准教授
松沢 哲郎 (2016-2020)特別教授
狩野 文浩 (2018-2020)特定准教授
リングホーファー 萌奈美 (2017-2020)特定助教
川上 文人 (2017-2018)特定助教
京都大学高等研究員 高等研究センター 教員一覧より

現在の特別教授は招聘特別教授を入れて4人なのかな?

日本学術会議の22期に所属していたのは確認がとれています。

解雇無効を求め京大を提訴

解雇無効求め京大を提訴 霊長類研の研究費不正問題(産経新聞2021/5/28 22:27)

松沢氏のコメント

松沢哲郎氏公式HP 懲戒の知らせを受けて

まとめ

研究は素晴らしいものだと思いますが、日本学術会議については怪しいところが多すぎます。

京大霊長類研究所その後

再編を決定予定

京大霊長類研の再編、月内決定へ(共同通信2021/10/14 19:26 :10/15 08:15)

学内の重要組織である「附置研究所」から除外予定とのこと。

論文の捏造発覚

霊長類研元教授の論文4本を捏造と認定 京都大(産経新聞2021/10/15 22:26)

京都大は15日、霊長類研究所(愛知県犬山市)の元教授、正高(まさたか)信男氏(66)が平成26年~令和元年に発表した論文計4本について、実験を実施した事実が認められず、捏造(ねつぞう)と認定したと発表した。うち1本は実験に必要となる学内の倫理審査も受けていなかった。京大は今後、正高氏への処分を検討するとともに論文の撤回を勧告する。

産経新聞 一部抜粋
京都大学公式ホームページ

公開日:2021年10月15日

認定した不正行為:捏造

不正行為に関与したと認定した研究者:霊長類研究所 元教授 正高 信男(まさたか のぶお)(令和 2 年 3 月 31 日付け定年退職)2020年

論文の撤回勧告:不正が認められた論文については、当該元教授に対して霊長類研究所より撤回の勧告を行う。

処分の検討:不正を行った当該元教授については、本学就業規則に基づき、今後処分を検討する。なお、退職手当については、支払いの差し止めを行っている。

京都大学HPより

関連

不正経理に関する調査結果について(京都大学公式HP 2018年6月22日)

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